ステンレス酸洗ライン用分割ゴムローラー事例

発生していた問題

ステンレス帯鋼の酸洗ラインで、酸槽内のスプレー酸洗部に使用する搬送ローラーの交換が必要になりました。

これは一般的な搬送ローラーではありません。ローラーは酸洗槽内でステンレス帯鋼を支持し、混酸、酸ミスト、リンス水、濡れた帯鋼、走行する帯鋼からの繰り返し荷重にさらされます。

現場では、約40%の硝酸と10%のフッ酸への接触条件があり、対象は約80本でした。旧ローラーの供給元から入手できなくなったため、酸槽の構造やローラー取付方式を変更せず、既存設備へ直接置き換えられる仕様が必要でした。

ローラー構造も重要でした。全面を連続してゴム被覆する仕様ではなく、面長方向に一定間隔でゴム被覆された分割セグメントが並ぶ構造です。各セグメントが帯鋼を支持し、その間の空間を酸液やリンス液が流れる構成になっていました。

酸スプレー洗浄ラインで使用される、使用済みの分割ローラーの列

ローラー・プロジェクト情報

交換ローラーは、既存のステンレス帯鋼酸洗ラインのレイアウトに合わせて製作しました。

ローラー種類:分割ゴム被覆搬送ローラー
用途:ステンレス帯鋼スプレー酸洗ライン
使用位置:酸洗槽内
数量:約80本
ローラー全長:約3200 mm
ゴム被覆面長:約2780 mm
ローラー外径:約270 mm
1セグメントの接触幅:約120 mm
セグメント間隔:約110 mm
接触材料:ステンレス帯鋼
接触媒体:硝酸、フッ酸、酸ミスト、リンス水、濡れた帯鋼
現場の酸条件:約40% HNO₃、約10% HF
主な要求:耐薬品性を持つ分割被覆、端面保護、被覆端部のシール、安定した接着、既存設備への直接交換適合

取付スペース、槽内レイアウト、帯鋼経路がすでに決まっているため、寸法は旧ローラーに近い状態を維持する必要がありました。重要なのは被覆構造です。各ゴムセグメントには側面があり、その部分から酸が侵入しないよう保護する必要があります。

分割ゴム被覆の考え方

このローラーでは、酸洗槽内での使われ方に合っていたため、従来の分割被覆構造を維持しました。

全面を連続したゴム表面にすると、ステンレス帯鋼との接触面積が大きくなります。濡れた酸槽内では、液体が残りやすくなり、表面抵抗や全面への薬品暴露も増える可能性があります。分割構造なら、帯鋼を複数の接触点で支持しながら、セグメント間に酸液・リンス液が移動する空間を確保できます。

この分割構造は、既存ライン設計に近い交換仕様を維持するうえでも有効でした。また、各接触セグメントの仕上げを管理しやすくなります。一方、各セグメントには左右2つの側面が生じます。単純な切断面のままでは、酸が側面から侵入し、接着層まで達するおそれがあります。

そのため、分割形状を単なる外観形状として扱わず、ゴム配合、セグメント側面の保護、境界部の処理、接着システムを一体で考えました。

被覆材、端面、接着

交換仕様には、硝酸・フッ酸への接触条件を考慮した独自の耐薬品ゴム配合を採用しました。一般的なEPDM、標準CSM、Hypalon、汎用ゴムをそのまま指定したものではありません。

接触面では濡れたステンレス帯鋼を支持するため、ゴム被覆には適切な硬度と表面安定性も必要です。同時に、酸の飛散や濡れた帯鋼から持ち込まれる液体は、主な走行面以外にも接触するため、セグメント側面やローラー端面の保護も重要でした。

酸槽内ローラーの故障は、必ずしも面中央から始まるとは限りません。セグメント端部、ローラー端面、ゴムと芯金の境界部から始まることがあります。酸が接着層へ到達すると、被覆の浮き、端部付近の軟化、時間経過に伴う接着低下につながる可能性があります。

そのため、単なるゴム材質変更ではなく、薬品に接触するローラー構造全体として扱いました。ゴム被覆、端部、ローラー端面、接着前処理を同じ仕様の中で確認しました。

製造上のポイント

この環境で使用する全長3.2 mの分割ローラーでは、再現性が重要でした。約80本を製作するため、被覆配置、セグメント間隔、端部処理、完成外径をローラーごとに安定させる必要があります。

製造では、スチール芯金の状態、接着前の表面処理、ゴム被覆の成形、セグメント端部管理、完成表面状態を重点的に確認しました。セグメント側面は、酸が溜まりやすい粗い開放端面のままにできません。露出する境界部にも、不要な液だまりが生じないよう配慮しました。

見た目は搬送ローラーでも、乾式接触の一般的なコンベヤローラーと同じ方法では製作できません。酸槽内では、露出しているすべての端部が使用条件の一部になります。

ステンレス鋼製酸洗ラインローラー

同様の酸洗ライン用ローラーで確認すべき点

ステンレス酸洗ラインの交換ローラーは、外径、長さ、ゴム材質名だけで判断すべきではありません。

重要なのは被覆周辺の細部です。分割構造が帯鋼経路に合っているか、セグメント間を酸液が流れられるか、セグメント側面が保護されているか、ローラー端面がシールされているか、接着構造が濡れた酸環境に耐えられるかを確認します。

設備に取り付けられる寸法でも、酸槽環境を考慮していなければ早期に不具合が出る可能性があります。この用途では、交換ローラーを「分割構造の薬品接触搬送ローラー」として扱う必要があります。

同様の案件で役立つ情報

同様の酸洗ライン用ローラーでは、最初から完成図面がなくても確認を始められます。役立つ情報は次のとおりです。

  • 旧ローラーの上面および両端からの写真
  • ローラー全長、被覆面長、外径、軸部詳細
  • 各接触セグメントの幅とセグメント間隔
  • 酸槽内、スプレー部、リンス部、搬送部などのローラー位置
  • 酸の種類とおおよその濃度
  • ステンレス帯鋼を直接支持するローラーかどうか
  • ローラー数量
  • 分かる場合は旧ローラーの材質仕様
  • セグメント側面、端面、端部損傷、接着部が分かる写真
  • 入手できる場合は図面または旧ローラーのサンプル

分割酸洗ローラーでは、特にセグメント端部とローラー端面の写真が役立ちます。

同様の酸洗ライン用ローラーを確認しますか?

ステンレス帯鋼ラインで、酸槽、スプレー酸洗、リンス、湿式搬送部の交換用ゴムローラーが必要な場合は、旧ローラー写真、寸法、セグメント配置、ローラー位置、酸との接触条件、数量をお送りください。

図面や完成仕様がまだない場合でも、ローラー位置、接触媒体、写真、解決したい交換上の問題から始められます。